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よ う こ そ
 おとぎばなし 翼の部屋
   Welcome to world of fairy tales TASQ.

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   自動ヴァイオリン 1900 年初頭 (アメリカ)

 

 

エッセイ :4

消し壺

 

「事物の捕らえ方」「感性の違い」「美的感覚」「愛の示し方」は、
人それぞれによって違いもすれば、理解の程度も違うらしい。

先日 寄り集まりがあり、妙な雰囲気で、次のような話が出た。
その話は、姑 自身が寒がりで、嫁が薄着をしていると、
「寒いのではないか」と、とても心配するそうだ。

「○○子、母の所を訪問する時は長袖を着て、母に心配を
掛けないようにするのも愛の示し方だと思うよ」

居合わせた一同は、
「○○子の旦那さんて、愛があって とても素敵な方ね」と感心の的である。

たまたま 私はそこに同席していたのである。
「なんだって。母に心配を掛けないだと。それはとんでもない。
その姑さんは、心配するのが好きなんだ。
いろいろ気づいて、人に世話をやくのが自分の生き甲斐なんだ。
むしろ、わざと薄着をし、「お母さんありがとう」と言って、
車に用意してあった着替えを羽織った方が、遥かに母への思い遣りだ。」

と、やってしまった。



私は古い時代の物、骨董品が好きだ。
だいたい古い物が好きだという感覚は、
それ自体が変わっているのであって、
多くの人には理解しがたいものだと思う。

昨日も古物商をのぞいてしまった。
古物商のおやじは、薄汚れた古物の中に埋もれ、
その古物とすっかり同化していた。
髪はぼうぼう、煤(すす)だらけ、身なりも粗末、
そんな雰囲気のおやじだった。

私は、買う気など最初からもっていない冷やかし客だ。
そのおやじと世間話をし、なかば暇をつぶしていた。

一人の別の客がやってきて、「消し壺」はないかと訊ねた。
おやじは二点ほど出し、1500円と告げた。
少し間を置いて、こちらは2000と訂正した。

その客は「2000円なら新しいのが売っている」と買わずに帰った。

私は、その消し壺をすっかり気に入ってしまった。

おやじは、売れなかったその消し壷の煤を払いながら、
「美的感覚のない人には骨董品の価値は分からないね」と、
おやじの身なりにどんな美的感覚が有るのか分からないが
そう云った。

確かにその通りであった。
それまで私が知っていた真っ黒の物とは違い、
鶴や花の絵柄があしらってあり、広い玄関のいっかくにでも
飾ったら豪華なオブジェとして映える逸品だった。

消し壺は、炭などの残り火を消し 翌日にとって置くもので、
経済的な面と火事などの防災、また火を起こす際には火が着き易い
という、一石三鳥の利点があった。

火を消す原理は、蓋をして空気を遮断するだけである。

しかし不思議なことに、この消し壺には上に穴が空いていて、
空気が遮断されないのである。
私はこれを訝(いぶか)り、
「穴が空いていて、これで火が消えるのですか」とおやじに訊ねた。

おやじは、
「これは京都方面で多く使われたもので、東北以北の密閉型とは違い、
徐々にその目的を果たす とても"風流"のある方法なのですよ。
ほんとうに風流がありますね」と、一人感心しているのである。

風流=俗ではなく趣(おもむき)がある。
私たち現代人は、素早く目的を達成することにキューキューとし、
ゆっくり待ってやる余裕を失っていないか。
「風流」という言葉すら死語なのか。
古き良き時代。日本人ならではのマインドを失いたくないと、
つくづく思った次第である。


 


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点描画  工藤 優飛(中2)

 

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