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よ う こ そ
 おとぎばなし 翼の部屋
   Welcome to world of fairy tales TASQ.

        健全な青少年育成には、夢を描けるメルヘンが、

 なによりのツールです。

  通読され、あなたが面白かったら、子供にも

 読んであげて下さい。

 

   自動ヴァイオリン 1900 年初頭 (アメリカ)

 

 

作品 3

お 花 畑

 

 今日わたしは、お母さんにお花畑へ連れて来てもらいました。
わたしは、蝶々になったつもりで、あっちの花、こっちの花と走って回りました。
 やわらかい花のにおい。これを胸いっぱいに吸い込むと、いまにも気が
遠くなりそうに、いい香りです。
花びらの一枚をとって頬に当てると、やさしくやさしく話しかけます。
「ああ、わたしもお花になりたいなぁ。」
風がふうっと吹くと、さわさわさわとお花が波打って、すっかり風に
体をあずけ、安心しきっている様子です。
「お花のあまえんぼ」  わたしは、どんどん奥の方に歩いて行きました。
一匹のハチが、ぶんぶん飛んでいます。
はじめは怖かったけれど、別に悪さをする様子もないので、
ハチの回るお花畑を一緒に見て回りました。
 お花畑は、どこまで行っても素晴らしく、天国まで続いている
のではないかと思うくらいです。

 ふと見ると、七色の光が虹のようにお花畑を照らし、
お花が一段と輝いて見えます。
そこは、回りがうすぼんやりとして、舞台のスポットライトをあびたように
そこだけが美しく照らされ、絵に描くことだってできない
魔法の国のようです。
 さっきのハチは、相変わらずお花にとまっては次ぎの花、
また次ぎの花へと、飽きもせず飛び回っています。 
なおも奥に行くと、いつのまにか足元が濡れています。
その辺りは、なんだかお花にみんな元気がなく、それはもう痩せていて、
うっとうしそうな顔をしています。
「あっ!」 お花に見とれて、わたしは転んでしまいました。
お洋服はびしょびしょ。どうした訳か足を枝に挟んでしまいました。
「困ったわ。」 足が取れません。
わたしはもう泣きたくなってしまいました。
 人の気も知らないで、さっきのハチは、まだお花遊びを楽しんでいます。
そんなふうに思いながらも、ハチの行く手をじっと見ていました。
ハチは、お花の香りに酔っているようでした。
ハチは、ある綺麗なお花にとまりました。
すると、 「ギャアー」 と悲鳴をあげて、みるみるうちにお花に
吸い込まれていきました。
そして、お花の中から、さかんに「タスケテー、たすけてくれい」と
叫んでいます。
そのうち、声もだんだん弱々しくなり、
ついには、何も聞こえなくなりました。
「まあ、なんて恐ろしいことでしょう。」 あの綺麗なお花が、ハチを食べてしまうなんて。
 でも、わたしはまだ信じられない気持ちでした。
虻(あぶ)が同じように食べられたのを見て、やっと虫食い花
だと分かりました。
 わたしは、その花が憎らしくなりました。
足が挟まれていなかったなら、その花をへし折ってやろうと思いました。 ・・・ ・・・
 どこかで弱々しい声がします。
「そこのお嬢さんよ。あんたは何も気が付かなかったかね。 
 わしら植物は、土を食べて生きているんだよ。」
なんと わたしの横に咲いてたナデシコのような一本の花が、
まるで病人のように話しているではありませんか。
 話しは、独り言のように続いています。
「この辺りの土は、極端に栄養が少なくて、みんな生きるのに
必死なんだよ。 
そこの木を見てごらん。あんなに遠くまで根を張り巡らして。
 栄養がありゃー、あんなに欲張らんでも共存できるってもんじゃ。
 お前さんが見た うつぼ だって、」
うつぼ とは、さっきの食虫植物らしい。
「昔はあんなに悪じゃなかった。
どう云う訳でここに住むようになったか知らないが、この辺りは、
とてもまともに生きて行けるような土地じゃない。
 あいつは、生きるために あの美しい体でだますようになったんだ。
本当に可愛そうなのは、あいつの方なのかも知れない。」
その花は、まるで恋人が悪の道に踏み込んだのを悲しむかのように、
もくもくと話しかけるのです。
 わたしは、すっかり寂しくなってしまいました。
「可愛そうな うつぼ さん。
あなたが悪いことをやめるということは、死ななければならないことなのね。」
痩せ細った回りの花も、こころなしか うなづいているような気がします。
 わたしは、はらはらと泣いてしまいました。
涙が、ナデシコのような花の、花びらに落ちました。
それっきり、花は話すのをやめてしまいました。
遠くでわたしを呼ぶ声がします。 「お母さんだ。」
「お母さん、こっちよ。」 わたしは大声で呼びました。
お母さんは、とても怒りました。すぐにわたしの足をはずし、
急に安心したのか、物も言わずにわたしの手をしっかりと握り締め、
帰り道を急ぎました。
わたしは、さっきの一時を忘れられません。
わたしは思いました。
 あの優しいふくよかな花びらのように、わたしの胸いっぱいに
膨らませて、それが愛なんだわ。
そうよ。わたしの胸から、愛の花びらを一枚いちまい取って、
それをどんな人にも分けてあげたなら。・・・ ・・・
そんな他愛もないことを考えながら・・・・・・もう家の前まで来ておりました。


 

 

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点描画  工藤 優飛(中2)