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よ う こ そ
 おとぎばなし 翼の部屋
   Welcome to world of fairy tales TASQ.

        健全な青少年育成には、夢を描けるメルヘンが、

 なによりのツールです。

  通読され、あなたが面白かったら、子供にも

 読んであげて下さい。

 

   自動ヴァイオリン 1900 年初頭 (アメリカ)

 

 

風刺 2

別 れ

 

 二匹の子犬が生まれました。
二匹は、双子の兄弟です。
どうしたことか、母親犬はお乳が出ないので、子犬に飲ませようとしません。
このままでは、死んでしまいます。
 子犬を育ててくれたのは、小学生の女の子でした。
女の子は、呼び名を「青」と「白」と名付けました。
牛乳を少し水で薄め、哺乳ビンで飲ませてくれました。
ボクは、女の子を本当のお母さんだと思い、牛乳も本当のお乳だと思いました。
 お母さんは、ボクたちにいつも話しかけながら、可愛がってくれました。
ボクたちは幸せで、危険だとか怖いと言うことを知らずに暮らしていました。

 ある日ボクたち二匹は、それぞれ別の家に貰われて行きました。
後で分かったことですが、白はとてもいい家に貰われ、幸せいっぱいに
暮らしてたということです。
 その頃は自分も人間で、人間はみな優しいと思っていましたから、
新しい家でも可愛がって貰えると信じていました。
 新しい家には、にわとりが庭に放し飼いにされていました。ボクは、
その庭で一緒にされました。
 ところが、オンドリがいじわるなのです。
何かというと足の横にある突起でキックを入れて来ます。
最初は逃げ回っていたのですが、ボクも体が少しづつ大きくなり、
オンドリを追い帰えすようになりました。
それでも気性は荒く、いつもいつも攻撃してくるので、これは一度
痛い目にあわせなければ、収まらないと思うようになりました。
 ボクは、とうとうオンドリの首筋にかみつき、血だらけにさせてまいました。
 これがこの家の人たちの怒りに触れました。
ボクは徹底的に打ちのめされ、何日も体が痛みました。
この時、犬と人間は違う生き物だとわかりました。
 オンドリには、ボクが力加減していますから、殺すほど深く噛み込んではいません。
だからその後も元気にしていました。
 しかし人間は怖い人たちです。ボクの目の前でオンドリをひねり、
殺して食べてしまいました。
きっとボクも殺され、食べられるのでしょう。
 ボクは、すっかり人間が嫌いになりました。
それからは、少しでも人間の足音がすると、怒りをあらわに吠えまくりました。
すると「うるさい」と家の人から叩かれました。
ボクの心はだんだん荒(すさ)んで、益々気の荒い犬となって行きました。
 変わったのはボクだけではありません。
家の人もボク以上です。
ボクを逃げられないよう綱を短くし、血の着いたムチで二時間以上
何百回も打ち続けました。
それが毎晩で、何も悪い事をしなくても打たれました。
不思議なのは、急にやさしい顔になってやめるのです。
ボクは歯をむき出し、低くうなり、いつでも噛むぞと抵抗しました。
 すっかり人間嫌いになったボクは、電気の検針に来たおばさんに噛みつきました。
人間たちは大騒ぎになりました。
保健所に出すとか云っていますが、ステバチのボクには、
もう どうということもありません。
少しでも人が近づくと、相変わらず歯を剥き出し、吠えにほえまくりました。
 また足音がしました。ボクはすっかり気が狂っています。
けたたましく吠え続けます。
それでも、その人が近づいてきます。
強い犬の臭いがしました。
この臭いには覚えがあります。
よく見ると、女の子が白い犬を連れています。
ボクの心は、急に怒りがとれて行きました。
それでもまだ低く唸っていました。
 「あお・・・・・青どうしたの」ボクは、知らずしらずのうちに、
しっぽを振っていました。
こんなに晴れがましい気持ちは、すっかり忘れていました。
白もしっぽを振っています。大きく堂々と立派になって。

荒んだ自分の心が惨めにおもい、少しばかり気恥ずかしくなりました。

 

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点描画  工藤 優飛(中2)